全体的に値下がり - 4月23日(土)2016
キャベツがさらに値上がり - 4月22日(金)2016
予報です。
品目 | 推奨 | |
---|---|---|
たまねぎ | 買いだめ | |
きゅうり | 買い | |
トマト | 普通 | |
レタス | 控え | |
だいこん | 控え | |
にんじん | 控え | |
ねぎ | 控え | |
はくさい | 控え | |
キャベツ | 控え | |
ばれいしょ | 控え |
表の上の方ほどお買い得、買い推奨です。
キャベツがさらに一段高くなりました。はくさいも同様に高いので代用するならレタスが良いかと思います。
こんな料理はどうでしょうか。
野菜の代用を考える場合は以下の表を参考にしてください。
背景色が赤いものが高い野菜です。
黄色、緑色となるに従って安いことを示します。
今なら、キャベツの代わりにレタス、ねぎの代わりにたまねぎなどの代用がオススメです。
品目 | 推奨 | |
---|---|---|
だいこん | 控え | |
にんじん | 控え | |
ばれいしょ | 控え | |
たまねぎ | 買いだめ | |
ねぎ | 控え | |
はくさい | 控え | |
キャベツ | 控え | |
レタス | 控え | |
きゅうり | 買い | |
トマト | 普通 |
「東京は野菜が高い」はウソ
結論から書きますと、東京の野菜価格はほぼ全国平均並みです。
でも、東京から地方に行って野菜が安いと感じたり、逆に地方から東京に行って野菜が高いと感じた経験が多くの方にあると思います。
それは恐らく一面では事実なのですが一種の心理トリックによるものです。
統計的に見ると東京の野菜価格はほぼ全国平均並みであるという指摘があります。*1
実際に統計を確認すれば明らかです。
まず、卸売価格ですが卸売市場ごとの市場規模と価格のばらつきを見ると、市場規模が小さいほどばらつきが大きく、市場規模が大きいほど全国平均に収斂しています。
小売価格も同様の傾向にあります。
東京市場は卸も小売も市場規模がダントツに大きく、ほぼ平均価格ということになっています。
東京で価格が高くなる要因は確かにあります。
- 産地から遠く輸送コストが乗る
- 地代、人件費などの小売コストが高い
- 品質の高い野菜を優先的に取り扱う
一方で安くなる要因もあります。
- 相対取引などで上値がキャップされる
- 大量に取り扱うため効率的
- 小売の回転率が良い(薄利多売ができる)
差し引くと東京だからと言って必ずしも高いとは言えないことがわかると思います。また、実際に高いとしてもそれに見あった品質があることも考慮に入れるべきです。(品質と言っても見た目がきれい、形が良いと言ったものだったりするので、そこに付加価値を感じるかどうかは人それぞれですが)
逆に、地方で野菜が安いと感じる要因として以下を考えます。
- 産地に近く、実際に安い
- 地代、人件費などの小売コストが低い
- 品質の低い野菜を仕入れている
野菜の主要産地である北海道や南九州それぞれの特産物はそれぞれの地元で安いのは当然です。
しかし、それぞれで取れないものは逆に遠隔地から取り寄せる必要があります。
つまり、九州では九州産は安いですが北海道産は高い、という当然の結果となります。
ここで心理的なトリックが起きます。
つまり、地方と東京の価格を比べる時に、地方で安い物しか意識しないのです。
ここで、東京市場での価格が全国平均に近くなる要因を考えます。
- 単純に取扱量が大きため合理的な価格形成メカニズムが働く
- 全国の産地から野菜が集まってくるため価格が平準化する
- 東京市場の情報は公開性が高く、全国の市場価格がさや寄せしてくる
感情で捉えると「東京は野菜が高い!」と思ってしまうのは致し方ない面があります。
しかし、理屈と統計から導かれるのは「東京の野菜は平均並み」という事実です。
このブログでは東京市場の価格を基本に野菜価格の予報を行っています。あくまで平均的な参考レベルとご理解頂ければと思います。
「ばれいしょ」「じゃがいも」どっちを使うのが正しい?
同じものですので、どちらも正しいのですが、文脈によって使い分けられています。それぞれの経緯から書いてみます。
「じゃがいも」の由来
諸説ありますが南米原産であることは間違いありません。
それが大航海時代に大西洋を渡ってヨーロッパに持ち込まれます。
さらに欧州諸国の植民地であった東南アジアを経由して東アジア、日本に渡って来ました。
当時オランダのアジア貿易の根拠地であったジャワ島ジャカトラ(当時ジャガタラと呼称)から来たいもということでジャガタラいも、転じてジャガイモと呼ぶようになったとの説が有力です。
現代ではさらに砕けて「ジャガ」で通用します。新ジャガなんて使い方をしますよね。
じゃがいもという呼び方は親しみやすく、使いやすいことから一般的に広まったと考えられます。
「ばれいしょ」の由来
ばれいしょは漢字で書くと「馬鈴薯」、「薯」は「いも」のことですが常用外漢字なので現代では「馬鈴しょ」と書きます。
日本では、江戸時代の植物学者が最初に馬鈴薯という言葉を使いました。馬鈴薯という言葉は中国の文献からとったものですが、実際にはじゃがいもに似た別のいもを指していたので間違いという指摘もあります。
現在では中国でもじゃがいものことを馬鈴薯と呼びます。Wikipediaの中国語版によると古代の馬につけた鈴の形状からとったと記載があります。(日本からの逆輸入呼称ではないかという説もあります。
中国でも日本でも、馬は濃厚馬や軍馬として親しみがあり、鈴はそれ自体印象が良いですし、農作物にとって「鈴成り」は喜ばしいことです。
馬鈴薯という言葉はイメージも良く、漢字で書けば数億人に伝わるわけですから実用的でもあります。
どっちが正しいのか
そもそも、じゃがいもにせよばれいしょにせよ、現代では総称であってジャワ島経由の一品種のことだけを指しているわけではありませんから、どちらにしても間違いというわけではありません。
これまで説明したような経緯から、一般には「じゃがいも」と呼ばれることが多く、公的・学術的にはほぼ「ばれいしょ」と呼称されます。
ばれいしょというと品種とか商品というイメージです。じゃがいもという呼び方は食材であり食事のイメージで美味しそうに感じます。(個人の印象です)
じゃがバター、肉じゃがと聞くと美味しそうですが、馬鈴しょバター、肉馬鈴しょでは馬感が邪魔して馬乳バター、馬肉のイメージがちらつきます。
ということで、どっちが正しいかという問いには、一般的には「じゃがいも」、公的には「ばれいしょ」が正しい感じはしますが、逆に使ったからといって間違いというわけではありません。
このサイトでは
「ばれいしょ」と呼ぶことにしています。これは、このサイトの情報源である農林水産省、青果市場、学術研究などにおいてばれいしょの呼称が使われていることに習っています。
それらの情報を一般にわかりやすく伝えるのが目的ですので読者目線で「じゃがいも」と呼ぶ方が良いのかな、とも思っています。ですので、様子を見ながら呼び方を変える可能性もあります。
参考文献はWikipediaから辿ってみてください。
野菜の2,3年周期説は本当か?
野菜の収穫量ひいては価格は2,3年周期で上下するという説がありました。実際はどうなのでしょうか。
結論から書くと、以前はあったが現在はないということのようです。
経済学における農業、畜産の需給調整モデルとして「蜘蛛の巣モデル」(ピッグサイクル)というものがあります。
Cobweb model - Wikipedia, the free encyclopedia
例えば、ある農家がトマトときゅうりをどちらも100万円の売り上げを見込んで畑の半分ずつに割り当てて作付けしたとします。
その結果、トマトは平年通り100万円、きゅうりはたまたま市場全体で収穫量が少なく高い金額で買ってもらうことができ150万円の売り上げになりました。
そうすると、次の年の作付け割合はどうするでしょうか。きゅうりがその年だけたまたま高かったという事実を知らなければ、きゅうりを多めにしたくならないでしょうか。
そして、多くの農家が同じことを考えたら? その年のきゅうりの作付け量は増えるでしょう。
結局、次の年は、市場全体できゅうりの量がダブつき、値下げをしないと買ってもらえないことになります。そこで、また次の年はきゅうりを減らしてトマトを多めに、と考える農家が多くなると…
このような流れで野菜の2,3年周期が出来上がるというモデルです。
実際に昔は、農家が情報を得られず、計画的な栽培ができなかったため、このような現象が起きていました*1。年齢が高い人ほど、そう言えば昔はそうだったと記憶されているのではないでしょうか。
しかし、近年、品目ごとの生産地の集約、大規模化、情報提供、計画化が推進され、作付け量の安定化が進みました。その結果、野菜の収穫量、価格の周期変動がなくなってきたのです。
もちろん、気候条件は毎年違いますのでランダムな変動は発生しますが、それすらも輸入によってある程度の平準化(リスクヘッジ)ができるようになっています。また、野菜自体も品種改良によって気象の影響を受けにくくなる傾向です。
今後も年々、野菜の収穫量、価格の安定性は高まると考えられます。
地域農業計画の予測と分析―マルチエージェントシミュレーション (農村計画学のフロンティア)
- 作者: 山下良平,農村計画学会
- 出版社/メーカー: 農林統計出版
- 発売日: 2014/04
- メディア: 単行本
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*1:森島賢 1978 野菜の供給と需要の価格反応
キャベツ急騰、トマトは安定供給 - 4月20日(水)2016
本日の予報です。
品目 | 推奨 | |
---|---|---|
だいこん | 控え | |
にんじん | 控え | |
ばれいしょ | 控え | |
たまねぎ | 買いだめ | |
ねぎ | 控え | |
はくさい | 控え | |
キャベツ | 控え | |
レタス | 控え | |
きゅうり | 普通 | |
トマト | 普通 |
キャベツが急な値上がりです。にんじんも徐々に上がってきています。
一方、値上がりと予測したトマトが若干の値下がり。地震で一部の関連施設やハウス・設備の損壊、トマトの落果などがあったようですが、熊本県内でも主要産地では影響が比較的軽かったようです。輸送も迂回は必要なものの数時間遅れでも何とか到着されているとのこと。関係者の皆様には大変頭が下がります。
一般論として野菜全般に言えることですが、輸入物も含めての競争があり事情があるからといって簡単に値上げできないという実情もあるようです。
メロンについては影響が大きいとの予測もありますが、日々の野菜は安定供給と考えて良さそうです。