「東京は野菜が高い」はウソ
結論から書きますと、東京の野菜価格はほぼ全国平均並みです。
でも、東京から地方に行って野菜が安いと感じたり、逆に地方から東京に行って野菜が高いと感じた経験が多くの方にあると思います。
それは恐らく一面では事実なのですが一種の心理トリックによるものです。
統計的に見ると東京の野菜価格はほぼ全国平均並みであるという指摘があります。*1
実際に統計を確認すれば明らかです。
まず、卸売価格ですが卸売市場ごとの市場規模と価格のばらつきを見ると、市場規模が小さいほどばらつきが大きく、市場規模が大きいほど全国平均に収斂しています。
小売価格も同様の傾向にあります。
東京市場は卸も小売も市場規模がダントツに大きく、ほぼ平均価格ということになっています。
東京で価格が高くなる要因は確かにあります。
- 産地から遠く輸送コストが乗る
- 地代、人件費などの小売コストが高い
- 品質の高い野菜を優先的に取り扱う
一方で安くなる要因もあります。
- 相対取引などで上値がキャップされる
- 大量に取り扱うため効率的
- 小売の回転率が良い(薄利多売ができる)
差し引くと東京だからと言って必ずしも高いとは言えないことがわかると思います。また、実際に高いとしてもそれに見あった品質があることも考慮に入れるべきです。(品質と言っても見た目がきれい、形が良いと言ったものだったりするので、そこに付加価値を感じるかどうかは人それぞれですが)
逆に、地方で野菜が安いと感じる要因として以下を考えます。
- 産地に近く、実際に安い
- 地代、人件費などの小売コストが低い
- 品質の低い野菜を仕入れている
野菜の主要産地である北海道や南九州それぞれの特産物はそれぞれの地元で安いのは当然です。
しかし、それぞれで取れないものは逆に遠隔地から取り寄せる必要があります。
つまり、九州では九州産は安いですが北海道産は高い、という当然の結果となります。
ここで心理的なトリックが起きます。
つまり、地方と東京の価格を比べる時に、地方で安い物しか意識しないのです。
ここで、東京市場での価格が全国平均に近くなる要因を考えます。
- 単純に取扱量が大きため合理的な価格形成メカニズムが働く
- 全国の産地から野菜が集まってくるため価格が平準化する
- 東京市場の情報は公開性が高く、全国の市場価格がさや寄せしてくる
感情で捉えると「東京は野菜が高い!」と思ってしまうのは致し方ない面があります。
しかし、理屈と統計から導かれるのは「東京の野菜は平均並み」という事実です。
このブログでは東京市場の価格を基本に野菜価格の予報を行っています。あくまで平均的な参考レベルとご理解頂ければと思います。